夏の情熱、秋の焦燥。
今はそうやって微笑ましく見守っていられるけれど、最初の頃は三階から転落したいくらい泣きたかった。
そんな気を紛らわすためにひたすら机にかじりついていた。
地に足つかないこのまま天国から迎え来るんじゃね?ってほど人生絶好調の男の相手は悠李に押し付けて、休み時間も放課後もひたすら勉強に当てていた。
俺、全力出したらスーパースターじゃね?
全力じゃなくてもそこそこの地位でいられたけれど、その上があるのなら自分の限界はどこなんだろうとある意味実験で試して。
志望校も去年では考えられない、一番上を目指した。
そりゃあ、どうした!?ってなるよな。
今まで、苦労もせずに飄々と生きてきた人間が急にかじりついて執着し始めて。
だけど、こうやって努力してる自分は嫌いじゃない。
俺はえらい。俺は今、正当な手段で評価されてることが嬉しい。
自分の可能性がここまであるって知らずに通ってたと思うとゾッとする。
昔には戻りたくないなって思う。