青の彷徨



「ほら、行こう」

くるりとスカートが翻って俺のズボンにふわっと当たる。

前から優しく、控えめに指先が触れる。

俺はその小さな手に導かれて、先に進む。


きらきら、360度どこからも、俺らが主役だ、みたいに。

光は俺らを包み込む。




次のゾーンは身長より高いぐらいのたまごみたいなものが無数にあって、触るとふわりと飛んでいく。

悠李だったらちょうど身長ぐらいって言うんだろうな。やっぱりその身長よこせ。



「すごいね!いや、さっきからすごいね!しかワード出てこないけど、すごいね!」

「そうだね」


今日はずっと語彙力ないんだな。

この「すごい」ってワードだけで気持ちが全部伝わったわけでもないのに。


どうやったら全部、伝えられるんだろう。

綺麗とか、幻想的とか、そういうおしゃれな言葉よりも、すごいって口かたぽろっと出たようなものが俺の気持ちなのかもしれない。