「ここ!ずっと行きたかったんだ!!」
ほっそいビルに何かでっかい看板があるわけじゃなくて、外側からおしゃれな感じはするけれど、それ以上に怪しい感じもする。だって、店内一切見えないんだもん。
躊躇する俺とは対照的に、美織はお店のドアを開ける。
「すごい」
もっといい感想はないのかよ。語彙力行方不明。
真っ暗っていうのかな。カラオケ屋の受付みたいな。だけど、ギラギラしてなくて、壁一面がこれ、なんていうんだっけ。えーと、プロジェクションマッピングだ!壁にこびとが並んで歩いていてかわいい。
「こういう光のテーマパーク系来てみたかったんだよねー」
何それ、めっちゃおしゃれそうなんだけど。
手続き済ませて中に入ると、しょっぱなから行方不明。
あ、美織とはぐれたとかそういうんじゃないよ。
自分がどこにいるか分からない感覚。まるで宇宙空間に放り出されたみたいに。わくわくが止まらない。

