青の彷徨



え、唐揚げ?そんな要素どこに…。


視界に唐揚げが入ってこなかったから分かんなかったけれど、嗅覚に入ってきて、これは秒でおいしいやつだって分かった。


美織がこっち!って言う方向に一本だけ旗が見えた。でっかく唐揚げって書いてあって、書く必要も感じないくらい唐揚げが匂いで大主張してる。



「うーん、しょうゆもしおもおいしそう…」

「じゃあさ、二人でシェアして食べね?俺がしおのお金払うからさ」


俺もしょうゆ食べたい。

これはグッドアイデアすぎる。からっと揚がるまでの期待値よ。

唐揚げ屋のおじちゃんは俺らを見て秒で修学旅行生だって見抜いてけっこうおまけしてくれた。自慢の唐揚げ食べてきなーってにっと笑った白い歯が印象的。



唐揚げだけど屋台のとは違って小さめでつまようじにさすとカリッとしているのが食べなくても分かる。

まずは手元にあるしおだね。

しょうゆよりも色が薄め。唐揚げでしお味なんて初めてだわ。


さくっとじゅわっと。

ナニコレ天国?


しおっていうから味はシンプルなんだけど、うま味は薄くなってない。