昨日はあれから一歩も部屋から出ずに泣いて過ごした。


目はだいぶ腫れているみたい。メイドの白石が心配して 保冷剤を繰るんだタオルを朝食の準備と共に 部屋に運んでくれた。


「紅麗お嬢様、おはようございます。昨日は突然のお話で、さぞかしびっくりなさった事だと思います。」


「おはよう白石。私まだ22才なんだよ。大学卒業したばかりで、いきなり結婚とか…絶対あり得ないんだから。」


「そうですね。旦那様と奥様にとって、大好きなお嬢様は離れて暮らしてる余り、心配で仕方ないのですよ。寂しがっていないかと、私や高柳にいつも聞いてくるんですよ。」


「パパとママが本当に?」


「ええ、アメリカに一緒に連れて暮らしたいとずっと話してましたよ。お嬢様の生活が第一だと、泣く泣く日本に残すと決められたお二人は それは──苦渋の決断をなさりました。」


「……っ。」


「ですので、お嬢様の幸せを願われているお二人は、昨日のお嬢様の態度は、大変お辛くショックだったと、私は思います。」


「白石、パパとママは いつ出発するの?」


「今日の夕刻の便でアメリカに戻ると聞いています。」


「わかったわ。白石いつもありがとう。私、パパとママにちゃんと、私の考えを話してくるわ。」


「ええ、それでこそお嬢様。お二人に胸にしまい込んでいる気持ちを伝えて下さいませ。」


白石に背中を押され 私はパパとママのいる部屋に向かった。


私にも心があるという事を───
パパとママにもわかって貰う為に…