自分の部屋で過ごしていたら 部屋がノックされ執事の高柳が私を呼びに来た。


「紅麗お嬢様、リビングにて旦那様と奥様がお待ちになっております。」


「高柳ありがとう。直ぐに降りて行くわ。」


パパとママに会うのは久しぶりだから嬉しい。だけど面と向かっては そんな事は絶対言えないし、態度はいつもツンとしてしまう自分がいる。


リビングに向かうと 少し疲れた顔のパパとママがソファーに座ってお茶を飲んでいた。


「パパ、ママお帰りなさい。」


「ただいま紅麗。おいで…」


パパは小さい時から、私を絶対抱きしめる。それは嫌じゃないけど、恥ずかしい…


「紅麗はいつも可愛いな。顔をもっと見せておくれ。」


「パパ、私は大人よ。これいつまでするの?」


「ずっとだよ。あ、違うな…紅麗が結婚するまでかな?」


「紅麗のお婿さんが決まったのよ。ね、あなた…」


え?お婿さんって何?


「だから紅麗、パパにこうされるのもあと数回になるよ…。」


「嫌よ。パパ…。私まだお婿さんなんて要らない。まだ結婚したくない。」


ポロポロと涙が頬から溢れ落ちる…


「紅麗…もう花嫁修業はおしまいだよ。パパとママは お前だけが心配なんだよ。だから…」


「嫌よ。まだ私は結婚しない…」


私は走って 自分の部屋に戻った…今日の今の時間が夢だったらいいのにと願わずにはいられなかった───