「遅いっ。お前化けたな…ちゃんとした令嬢に見える。」


は?
巴琉には絶対言われたくない。心の声は盛大に毒をはきまくる。


「あの、あなたは巴琉さんですよね?」


「そうだ。何、別人に見えるのか?」


「はい。外資系のエリート幹部みたいに見えます。黙っていれば…の話ですけど。」


「ちっ、お前が黙れ。時間がないから行くぞ。」


すたすたと私を置いて 外に出て行こうとする巴琉に、遅れない様必死に小走りで付いて行く。


そんな二人の姿を女将の千里が 温かい目で見守っていた。