巴琉に付いて行った先は客室だった。

「ここの部屋はお客様が今いない。布団を直す作業をするから、部屋に入って。」


確かめもせずに そんなの部屋にお客様がいたらどうするんだろう?あれ?って思っていると…


「あのさ、俺もエスパーとか透視が出来る訳がない。受付に確認作業してるし、そんなへまなんかする訳ない。」


指で自分を指す巴琉を見ると 耳にインカムを装着していた。安心した私は客室に入り 布団を押し入れに入れる作業を教わり 次の部屋へと移動した。


かなりの肉体作業だ。普段殆んど体を動かさない私の毎日には考えられない。


30分程の布団の直し作業で 私はクラッとしてしまう。


「何だ?もう体力の限界か…。本当に子供並だとは…。こっちに来い。」


フラフラしながら連れられた場所は、客室に近い部屋で…


「ほら、ここに座れよ。」


ソファーに座らされ どこかに行ったと思ってた巴琉が手にペットボトルの水を持っている。


「俺は まだ続きをするけれど、お前はここで暫く休んどけ。」


スタスタと忙しなく行ってしまった巴琉。手渡されたペットボトルの水は 冷たいけれど、私の心は温かくなった。