どれくらいそうされていたのか、長く感じただけか、離された体の距離。


「ん、もう震えてないな。山の温度の寒暖さは町よりも大きい。夜には特に体が冷えるから早く部屋に入れよ。」


見た目とは違う優しい言葉に えっ?と思ったけれど。いやいや───いきなり抱きしめられてた事実は消えない。震えていたのも寒さのせいじゃないし…


だけど、面と向うのが無理なのと早くこの場から離れたいから、私は逃げた。何も言えないまま…


熊男がニヤリと笑っていたのを私は知らなかった…