「こんにちは。私は藤堂紅麗と申します。

高柳さんからここで生活をする様にと話を聞いて来たのですが、この旅館のオーナーはいらっしゃいますでしょうか?」


「いらっしゃいませ。まぁあなたが紅麗さんね。とても可愛らしい方ね。高ちゃんも心配で仕方がないのがわかるわ…。

私がこの旅館の女将の千里です。詳しい話はお部屋でしましょうか?では早速部屋に案内しますから行きましょう。」


綺麗な女将さんに連れられ 離れにある部屋に入る。客室ではないけれど、素敵な女の子の部屋。


「ここは私のお嫁に行った娘が使っていた部屋だから 自由に使ってくれて構わないわ。」


「娘さんが使っていた部屋なんですね。スゴく可愛いし落ち着く部屋で、ここを使わせて頂くのは嬉しいです。」


「それは良かったわ。紅麗さん、高ちゃんと私はね幼なじみなの。だから高ちゃんから今日から大事なお嬢さんを預かるけれど、どこに出しても恥ずかしくない娘さんに鍛え上げて欲しいと頼まれたの。」


「私と一緒に旅館の仕事と普通の生活のスキルを磨く為に 半年間みっちりと仕事をしてもらうわね。」


旅館の仕事?普通の生活?私に出来るとか出来ないの選択は選べない感じで話は進んでいる。


「返事は【はい】しか受け付けないわ。それと、私がずっと付き添えないから、私の代わりの助手がサポートするので安心してね。

今日はとりあえず休んで、明日は朝6時から働いて貰うから早く寝る様にね。」


「千里さん、これから半年間お世話になりますが、よろしくお願い致します。」


私は初めての仕事を明日からするんだ。と自分のスキルがどれ程のモノかも全く知らない、普通にただのお嬢様であった。