バイバイまたね、クドリャフカ

 必死に尋ねてくるまなかに私は苦笑した。みっつ年下の可愛い妹。成績は普通だけれど、明るくて朗らかで優しくて。友達もたくさんいる。

 人懐っこくて、誰からも愛されるような性格だ。私とはまるで正反対。

『じゃぁ、お守り買ってきて』

 ベッドからふたりの顔を見上げ、私は母と妹に告げた。東京で学問の神様として有名な神社の名を挙げる。

 一度、お参りしてみたいなと思っていた。祖母の家に行くときに、もし寄れたら行ってみよう。それくらいの気持ちだったけれど、せっかくなのでねだってみる。

『お姉ちゃん、それ以上頭よくなってどうするの?』

 呆れた様子のまなかに母は『ほのからしいわね』と笑った。

『わかった。ほのかの分もお参りして買って帰ってくるわ』

 母が私の額にそっと手を乗せた。ひんやりとして熱が奪われていく。心地よくて手が離れたときは、寂しく思えた。もう小さい子どもでもないのに。

『早くしないと飛行機乗り遅れちゃうよ。年末で混んでるだろうし』

 気持ちを誤魔化すように指摘すると、母は時計を確認した。

『そうね、そろそろ行くわ』

『お姉ちゃん、またメールするからね。しんどくなったらお父さんに電話するんだよ』

『うん、ありがとう』

 ベッドから母と妹を見送る。部屋のドアがゆっくりと閉まり、ふたりの姿が消えると、なぜだか私の頬にひと筋の涙が伝った。

 待って。行かないで。私を置いていかないでよ。