バイバイまたね、クドリャフカ

 直接知らない人なのに、まるで自分の知り合いを亡くしたかのようだった。私も母を亡くしたから健二くんに同調しているのかもしれない。けれど、きっとそれだけじゃない。

「でも母ちゃん言ってた。じいちゃんとミケが俺の家族になるから大丈夫だって。いつも俺とじいちゃんとミケを見守ってるから心配しなくていいって」

 不意に健二くんが言葉を発し、全員の注目が集まった。彼はそれを受けるように全員をぐるっと見渡し立ち上がる。その表情はいつになく真剣だ。

「だいたい、みんなが言ってる七パーセントってそんなに難しいのかよ?」

 必死で訴えかけているのに、机がないので手に皿と箸を持ったままなのがどこか締まらず、健二くんには申し訳ないけれど、つい気が緩んでしまう。

「七パーセントっていえば……医学部の平均合格率がそれくらいかしら?」

 彼の質問を真面目に考え、曖昧に答えたのは樫野さんだ。それを聞いた健二くんは、閃いた!という顔になる。

「じゃ、俺医学部に入って医者になるよ! そしたら地球が助かるって証明できんだろ?」

 突拍子もない宣言に皆、目が点になった。ややあって一番に吹き出したのは宮脇さんだ。

「どういう理屈だよ、それ」

「なんだよ。そういうことじゃねーの?」

「なら、まずはミケランジェロが誰なのかちゃんと知るところからだな」

 穂高も笑っている。私も自然と顔を綻ばせた。