部屋の中に閉じこもっていても、こうして外に出て来ても状況はなにひとつ変わらないのに。むしろこうして現実を突きつけられるだけだ。
隣にいるカップルは相変わらず結論の出ないやりとりと繰り返している。そして不毛なやり取りを終わらせるかのごとく、突然男性が女性の肩を力強く抱いた。
「俺はどんなことがあっても、お前のそばにいるし絶対に守るから」
「守るって、どうやってよ……」
表情は見えないけれど、女性の声は震えて涙が滲んでいた。
「わからない。でも俺はお前のためなら命を懸けられる。そのために生まれてきたんだって自信を持って言える」
ああ、すごいな。
映画なら間違いなく最高のワンシーンだ。あくまでも自分が観客ならの話で、同じ当事者としては、そう呑気に受け止めてはいられないけれど。それでも私は純粋に感動した。
はっきりと、自分はなんのために生まれてきたのかを言えるんだ。
『どうせ限られた命なら、誰かの、なにかのために役立てたい。そんな人になりたいんだ』
不意に彼の台詞が鮮明に蘇った。彼はこうなる事態を見越していたのかな? 今、どこでなにをしているんだろう。
意を決し私はカップルに背を向けて、歩きはじめた。
太陽に背を向け、地面にできた自分の影を睨む。不思議なもので、動いているときよりもこうして止まったときの方が全身から汗が噴き出しそうになる。
暑さのせいもあるがそれだけじゃない。だから動いていないと。
頭を軽く振ると、麦わら帽子のつばがわずかに揺れ、影もそれに倣う。私は再び一歩前へ進みだした。
隣にいるカップルは相変わらず結論の出ないやりとりと繰り返している。そして不毛なやり取りを終わらせるかのごとく、突然男性が女性の肩を力強く抱いた。
「俺はどんなことがあっても、お前のそばにいるし絶対に守るから」
「守るって、どうやってよ……」
表情は見えないけれど、女性の声は震えて涙が滲んでいた。
「わからない。でも俺はお前のためなら命を懸けられる。そのために生まれてきたんだって自信を持って言える」
ああ、すごいな。
映画なら間違いなく最高のワンシーンだ。あくまでも自分が観客ならの話で、同じ当事者としては、そう呑気に受け止めてはいられないけれど。それでも私は純粋に感動した。
はっきりと、自分はなんのために生まれてきたのかを言えるんだ。
『どうせ限られた命なら、誰かの、なにかのために役立てたい。そんな人になりたいんだ』
不意に彼の台詞が鮮明に蘇った。彼はこうなる事態を見越していたのかな? 今、どこでなにをしているんだろう。
意を決し私はカップルに背を向けて、歩きはじめた。
太陽に背を向け、地面にできた自分の影を睨む。不思議なもので、動いているときよりもこうして止まったときの方が全身から汗が噴き出しそうになる。
暑さのせいもあるがそれだけじゃない。だから動いていないと。
頭を軽く振ると、麦わら帽子のつばがわずかに揺れ、影もそれに倣う。私は再び一歩前へ進みだした。


