月が地球に落ちてくるとか、私の理解を超える出来事はたくさんある。それでも今この目の前の状況もまったくもって不可思議だった。
どうして店を荒らされそうになった人と、盗みを働こうとした人が一緒に食卓を囲もうとしているのか。そして私たちはなぜここに同席しているのか。
今、谷口商店の前には本格的な七輪が用意され、被害者と加害者は協力し合い、そこに穂高も加わって火おこし中だ。
無事に炭に火がついたもののこれで終わりではないらしい。ご主人が支持する形で、穂高と男性が風を送ったり、炭を動かしたりしている。意外と手際がいい。
私と健二くんはその様子をぼんやり眺めて待っていた。七輪の周りを囲むように簡易な折り畳み椅子が適当に並べられ、そこに腰を下ろしている。
店の前は車が横付けできるほどの幅があり、それなりに広い。補整されていない剥き出しの土や砂利なので椅子は安定せずにぐらぐらするが、あまり気にならない。
空はまだ明るく時刻は午後五時を過ぎている。曇ったりしていたけれど西の空が綺麗なオレンジ色の夕焼けなので、明日の天気もどうやらよさそうだ。
ご主人の名は谷口(たにぐち)正志(まさし)さん。ミケを探していた谷口健二くんの母方の祖父らしい。
火力が強くなったのを確認し、網に肉を並べていく。鮮やかな色をしたお肉だった。まさに血が通っているとでもいうような。
「ほら、しっかり食えよ、今日割ったばかりの新鮮な牛だ」
「俺、ウインナー食べたい。牛飽きた」
「贅沢言うな!」
すかさず手を上げて自己主張した健二くんを谷口さんは一喝する。
どうして店を荒らされそうになった人と、盗みを働こうとした人が一緒に食卓を囲もうとしているのか。そして私たちはなぜここに同席しているのか。
今、谷口商店の前には本格的な七輪が用意され、被害者と加害者は協力し合い、そこに穂高も加わって火おこし中だ。
無事に炭に火がついたもののこれで終わりではないらしい。ご主人が支持する形で、穂高と男性が風を送ったり、炭を動かしたりしている。意外と手際がいい。
私と健二くんはその様子をぼんやり眺めて待っていた。七輪の周りを囲むように簡易な折り畳み椅子が適当に並べられ、そこに腰を下ろしている。
店の前は車が横付けできるほどの幅があり、それなりに広い。補整されていない剥き出しの土や砂利なので椅子は安定せずにぐらぐらするが、あまり気にならない。
空はまだ明るく時刻は午後五時を過ぎている。曇ったりしていたけれど西の空が綺麗なオレンジ色の夕焼けなので、明日の天気もどうやらよさそうだ。
ご主人の名は谷口(たにぐち)正志(まさし)さん。ミケを探していた谷口健二くんの母方の祖父らしい。
火力が強くなったのを確認し、網に肉を並べていく。鮮やかな色をしたお肉だった。まさに血が通っているとでもいうような。
「ほら、しっかり食えよ、今日割ったばかりの新鮮な牛だ」
「俺、ウインナー食べたい。牛飽きた」
「贅沢言うな!」
すかさず手を上げて自己主張した健二くんを谷口さんは一喝する。


