バイバイまたね、クドリャフカ

「久しぶりに戻ってきたんだけど、色々変わってて驚いたわ。さんさんマートは潰れているし、喜楽(きらく)は大きくなってるし」

 さんさんマートは地元ではお馴染みのスーパーマーケットで、県内の至る所にある。ただ西牧村では月の落下云々は関係なく経営悪化で閉店してしまった。

 喜楽は小さなお弁当屋さんで、昔から美味しいと地元では親しまれていた。

 その甲斐あってか去年の初めにリニューアルオープンして大きな店構えになったんだけれど、今も営業しているかは謎だ。

「それにしても、ほのかちゃんも穂高くんも月高だなんて頭いいのねー」

 お互いに自己紹介を終えてみると、理恵さんは気さくな人で私たちはすぐに打ち解けた。

 地元の話題に花を咲かせながら私と理恵さんが横に並び、穂高は一歩うしろを歩く。

『月城高校に通っている=頭がいい』という図式は県内では世代共通の認識らしい。

 この決まりきった台詞に私はいつもどう答えればいいのか悩んでしまう。

「で、ふたりは付き合ってるの?」

 ところが、こちらの答えを待たずして続けて理恵さんから投げかけられた問いは、私の思考回路を迷走させた。

「え、ええ!?」

 気が動転している私をよそに、理恵さんはにんまりと口の端を上げる。

「さっきも私が声をかけるまでいい雰囲気だったし。お邪魔してごめんなさいね」

「そ、そんなんじゃないです。私たちは、その」

 どんな体勢だったか思い出し頬が熱くなる。とはいえ、ここは穂高のためにもちゃんと違うって言っておかないと。