バイバイまたね、クドリャフカ

 空を映していた瞳を正面に戻す。すると遠くから車が近づいてくるのが見えた。

 色は黒で高級そうな雰囲気だ。デザインが少し珍しい。車には詳しくないのでメーカーまでは判断できないけれど、おそらく外車かな?

 ついじっと注視していると、車は反対車線なのにも関わらず、あろうことか私たちの少し手前で止まった。端に寄せハザードランプがチカチカと灯りだす。

 位置やタイミング的に私たちに用があるのだと直感する。驚きが隠せず、怖い人が出てきたらどうしようと嫌な想像が脳裏を過ぎった。

 穂高も警戒心を露わにして私の手を引き、自分の方に寄せた。   

 ところが後部座席のドアが開き、降り立ったのは見覚えのある人物だった。

「安曇くん!?」

 私は目を丸くする。穂高の名前を呼び、こちらに早足に駆け寄ってきたのは隣のクラスの渡辺さんだった。偶然、穂高に告白しているのを聞いてしまった相手だ。

 制服ではなく水色のワンピースを身にまとっている渡辺さんは、痩せて髪も短くなっていた。それが彼女の大人っぽさに拍車をかけている気がする。

 彼女は私に目もくれず、一目散に穂高に寄った。

「よかった。無事だったんだ」

 渡辺さんは安心した表情を見せ、ちらりと車の方に顔を向けた。

「あのね、今からお父さんの知り合いで、隕石の専門家に会いに行くの。安曇くんも行かない?」

「隕石の専門家?」

 穂高はオウム返しに尋ねる。私も話の意図が読めず、黙って耳を傾けた。