バイバイまたね、クドリャフカ

 何度も何度も頭の中でシミュレーションしてみては、真綿で首を絞められるように息が苦しくて心臓が止まりそうになった。

 勝手に涙が溢れて体が震え、眠ることもできずに頭やお腹、体の至るところが悲鳴を上げる。

 地球が滅びる前に自分がボロボロだった。

 叫びたくて、このモヤモヤを払いのけたくて、走り出したい衝動を必死に抑える。自分を痛めつけたくなる感覚は生まれて初めてだった。

 だから、私はもう考えるのを放棄した。今まで私が必死でやってきたのは勉強だけだったから、なにかに取り憑かれたようにひたすら教科書と参考書のページをめくって問題を解いていく。

 その間は余計な考えに心を支配されずにすんだ。

 勉強以外になにをしていいのかわからず、時間を持て余す日々。カウントダウンが始まっている世界で、時間を持て余すというのもなんだか矛盾しているけれど。

 三学期になり学校にもしばらくは通っていた。でも生徒も教師も人数は徐々に減る一方で必然的に学級閉鎖の状態となった。しょうがない。

 ただ穂高の姿がなかったのには少しだけ胸が痛んだ。彼に会うのを期待して真面目に通っていたところもあったから。

 そんな彼と今、一緒にいるなんて信じられない。月が地球に落ちてくるっていう事実ほどに。なにもかもが夢みたい。それならどこまでだろう?

 境界線がぼやけて苦笑する。どうやら私はこの期に及んでもまだ、現実を受け入れられてないみたい。