「検査ってなんの? どういうことなの?」
震える声で問いかける。急かしたくないのにどうしたって不安から心が逸る。
穂高はぎこちなく語りだした。
「十歳を過ぎた頃からかな。ずっと調子が悪くて、常に息苦しさを感じていた。原因がわからない状態がずっと続いてたんだけど、日本にいい先生がいるからって思いきったんだ。宇宙飛行士になるには健康が絶対条件だからね。そしたら……珍しい呼吸器系の病気だった。症例も少なくて、世界的に見ても珍しいらしい」
彼の言葉はちゃんと耳に届いたのに、情報の理解が追いつかない。脳が受け入れるのを拒否している。なのに彼は淡々と事実を告げていく。
「それこそ発症率は人口の数パーセントにも満たないって。驚いたよ、治すつもりで意気込んで日本に来たのに。しかも、はっきりと診断されたのは月が地球に落ちてくるっていう発表があった直後だったんだ……すごいだろ。地球が助かる確率よりも低いものを俺は当てたんだから」
彼が学校をよく欠席していたのはそういう理由だったのかと、今になって繋がる。
穂高の声には落ち着きが戻ってきて、むしろわざとらしく明るいトーンだった。でも無理して作っているのがバレバレで、代わりに私の涙腺が緩みだす。
必死で泣くのを我慢する。泣きたいのは穂高だ。
「今は薬で症状を抑えているけど、それもいずれは効かなくなる。最終的には手術しないと助からない」
「手術したら治るの?」
涙声で尋ねた質問に、沈黙が返ってくる。穂高の顔を見たいのにきつく抱きしめられているので、それも叶わない。穂高は私の頭を撫でていた手を止めた。
「……症例が少ない分、手術例も希少で成功率もかなり低い。ましてや世界がこんな状態だと」
「そんな」
震える声で問いかける。急かしたくないのにどうしたって不安から心が逸る。
穂高はぎこちなく語りだした。
「十歳を過ぎた頃からかな。ずっと調子が悪くて、常に息苦しさを感じていた。原因がわからない状態がずっと続いてたんだけど、日本にいい先生がいるからって思いきったんだ。宇宙飛行士になるには健康が絶対条件だからね。そしたら……珍しい呼吸器系の病気だった。症例も少なくて、世界的に見ても珍しいらしい」
彼の言葉はちゃんと耳に届いたのに、情報の理解が追いつかない。脳が受け入れるのを拒否している。なのに彼は淡々と事実を告げていく。
「それこそ発症率は人口の数パーセントにも満たないって。驚いたよ、治すつもりで意気込んで日本に来たのに。しかも、はっきりと診断されたのは月が地球に落ちてくるっていう発表があった直後だったんだ……すごいだろ。地球が助かる確率よりも低いものを俺は当てたんだから」
彼が学校をよく欠席していたのはそういう理由だったのかと、今になって繋がる。
穂高の声には落ち着きが戻ってきて、むしろわざとらしく明るいトーンだった。でも無理して作っているのがバレバレで、代わりに私の涙腺が緩みだす。
必死で泣くのを我慢する。泣きたいのは穂高だ。
「今は薬で症状を抑えているけど、それもいずれは効かなくなる。最終的には手術しないと助からない」
「手術したら治るの?」
涙声で尋ねた質問に、沈黙が返ってくる。穂高の顔を見たいのにきつく抱きしめられているので、それも叶わない。穂高は私の頭を撫でていた手を止めた。
「……症例が少ない分、手術例も希少で成功率もかなり低い。ましてや世界がこんな状態だと」
「そんな」


