バイバイまたね、クドリャフカ

「それで、今日はどの星を見たいんだい?」

「彼女にアルビレオを見せて欲しいんです」

「なるほど。トパーズとサファイヤか。ついてるね、今日は何度も雲が空を覆っていたのに、今は引いている」

 歩き出す白木さんに私と穂高も続く。神様なんて信じていないけれど、きっと運が味方してくれたんだ。

 かすかな記憶を辿って見るものの、小学生のときに訪れたのが昼間だったからか、印象がかなり違う。

 観測室のドアが開くと、中は思ったよりもシンプルだった。プラネタリウムのような丸い天井に、真ん中には、天井を貫くような大きな円筒の機械がある。

 たぶんこれがメインの望遠鏡なのは予測できた。そこから別に伸びたパイプのような棒の先に、双眼鏡みたいなものがセットされている。

 さらに横には小さな望遠鏡がくっついていた。

「すごい」

「天文設備としては、かなり小さいものだけどね」

 そう言いながら、白木さんは部屋の脇にあるパソコンへ向かった。キーボードを叩き弄りだすと、真ん中にある望遠鏡も音を立てだす。

 驚く私に穂高が解説を入れた。

「コンピューターで制御してるからね。ここで見たい天体を入力すれば自動で見つけてくれるんだ」

 あまりにもハイテクで驚く。私にとってはなにもかもが未知の世界だ。それから白木さんがパソコンと望遠鏡の前を行 ったり来たりをする。

「はい、入ったよ」

「見てごらん、ほのか」

 穂高に促され、私はおそるおそる望遠鏡を覗き込んだ。ぱっとふたつの星が目に入る。

「わぁ、綺麗」

 思わず感嘆の声を漏らした。やや大きめのオレンジの星に寄り添うように青い星が並んでいる。