星降る夜の月



「違うの!

あたし、1人で焦っていたの。

……湊は、早くしないと夏海と付き合っちゃうって思って……」


なんだこれ。


初耳だ。


湊は私を異性として好きという態度を一度として見せたことがない。


それは私も同じだ。


『理解ある幼なじみ』という関係で今まで一緒にいたのだ。


「……それ、何かの間違いじゃない?

私達、そういうのじゃないから。」


「……夏海」


「それに、私が学校に行かないのはそれが理由じゃない。

朱璃は、悪くない。」


電話の向こうで絶句している。


「……そういうことだから、じゃあね。」


「……うん。

……あのさ、学校、来て。」


「……分からない。」


「……そっか、じゃあね。」


無理に明るい声を出していた。


それが私を余計に苦しませる。


朱璃は、何も悪くない。


なのに、自分が悪いと背負い込んでいる。


皿にはまだ半分くらい残っていたけれど、もう食欲なんてない。


残りは捨てた。