星降る夜の月



テストが終わって数日経った。


結局、私は何度目かの別室受験になった。


その事について湊は不満げだったけれど、私の決めたことだからと気にしないで割り切った。


束の間の休みを楽しもうと思ったらあっという間に梅雨に入ってしまい、やることがない。


紫陽花を見たいけれど、今はどこも人で溢れかえっているのだろう。


仕方なく、図書館で借りた本を読んでいる。


梅雨らしく、『雨の国』という本だ。


絵が綺麗であらすじにも惹かれて借りた。


読んでみると、何より言葉がクリアで綺麗なのだ。


携帯電話が鳴った。


「あ、もしもし?」


「夏海、今日の夜、暇?」


「うん、まあ。

何かあるの?」


「それは後で分かるんだけど、暇ならいいや。

夜10時に夏海の家の屋根な。」


「……屋根?」


何をしたいのだろう。


「そう。じゃあな。」


「え、待ってよ!」


返事も聞かずにガチャンと切られる。


何があるのだろう。


楽しいことだとは思う。


声音がいつもより明るかったから。