私もそろそろ勉強しようかと、本棚から世界史の教科書を取り出す。
暗記科目は早めに取り掛からないとあとが大変なのだ。
中学生の時にそれで痛い目に遭った。
範囲はかなり広い。
教科書40ページ分は毎回軽く出る。
いつものようにぶつぶつ音読していると、湊が呟いた。
「……お前、怖い。」
「音読しているだけじゃん。」
「違うんだよ。
お前、勉強する時はいつも目が怖い。
何かを憎んでいるみたい。」
「……そうかもね。
いろいろむかつくから。」
曖昧に笑って今度は外に出て音読した。
うわあ、長いな、この人。
マルクス=アウレリウス=アントニヌス、誰。
ぶつぶつ呟いて、空を見る。
月の形はかなり変わってきた。
もう今にも消えてしまいそうな三日月だ。
まるで不思議の国のアリスのチェシャ猫のような口の形。
もう1度、マルクス=アウレリウス=アントニヌスと呟いてから教科書を閉じた。


