「分かってて聞くのかよ。」
「まあ、社交辞令ってとこ。」
「ふうん。
お陰様で無関心です。
じゃあこっちも社交辞令で聞くけど、お前は?」
「こちらはお陰様で人の目を気にしてうるさいです。」
気分が悪い。
こいつもまあまあ性格悪いよな、と心の中で悪態をつく。
自転車を引っ張って歩く。
歩いても10分かかるかかからないかの距離だ。
「さっき朱璃に会った。」
「そうなんだ。」
努めて普通に返す。
でも、そんなのは湊には見透かされているんだろうな。
「そうしたら、朱璃が別れようって。」
「うん」
「それから、ごめんねって。」
「うん」
「夏海に謝っていた。
だから、もう朱璃は反省しているみたいだし、学校来れば?」
「は?
それって、都合が良すぎだよ。
……私が、どんな思いでずっと家に居たか知らないくせに。」
「それは思い上がりだろ。」
言い過ぎたと思った。
都合が良いのは、私だ。


