星降る夜の月



橋の欄干にもたれて桜を見て、撮る。


夜の空気は好きだ。


この肌寒いくらいの空気が心地いい。


私も、人並みに興奮していたのだと分かる。


……あ、桜が。


風が吹いて、木々が揺れ、桜が散っていく。


喧騒が遠ざかる。


「……お前、何やってんの?」


「ああ、湊。

花見。」


少し息が上がっているみたいだ。


急用でもあったのか。


「どうしたの?」


「桜、見たくなって。」


「湊らしい。」


そう笑ってから2人で桜を見る。


「……俺、友達と1回見た。」


「へえ、いつ?」


「満開の日。

すっげえ人で混んでいた。」


「それは混むね。

今日なんか全部散りそうなのにまだ見に来ている人がいる。」


「余韻だろ。」


「うん、私もその余韻に浸りに来た。

もういいかな、十分楽しんだし。」


軽く伸びをして駐輪場へ向かう。


「そういえば、湊の親は大丈夫なの?

こんな夜遅くに。」