風も吹かない冷たい夜。 流れる涙もふかずにただ立ち尽くす。 ケイタイの時計はもう十二時を回っていた。 彼女は煙草に火をつけ、何もせずにまた立ち尽くした。 少し吹いた風に髪が揺れる。 でも帰ろうともせずに時間だけが過ぎていった。 血まみれの左手首。 拭き取ろうともしない…。 彼女の心は、 『死にたい』 という思いでいっぱいだった。 それには誰も気付かない。