「何やってんの?」
「はっ!はいっ!!」
麦茶のグラスを乗せたお盆を持って戻ってきた香取くんの声で我に返る。なんとも恥ずかしい…
「俺の部屋、二階」
「はい…」
香取くんに促されて階段を上る。
香取くんの部屋はシックなウォールナット色の家具とターコイズのファブリックで揃えられていた。
「うゎあ綺麗!」
「あんまりじろじろ見るな。座って」
部屋の真ん中に置かれたローテーブルに着く。
「星宮、あと何残ってるの?宿題」
「数学と英語。あ、あと小論文もまだ仕上がってなくて…」
「終わるのか?そんなにあって」
「う…いや、でも、がっ、頑張る!とりあえず今日は数学頑張る!」
香取くんがデスクから数学の問題集を持ってきた。
「しょうがねぇから教えてやる」
そう言って角を挟んだ隣に座る。
「え、あ、香取くんこそ宿題は?」
「終わった」
「え…」
(宿題片付けるからうちに来る?って話だったのに…?)
香取くんは私が宿題終わらないの見抜いてて教えてくれるつもりだったみたいだ。
「なんか…ごめんね。いつもいろいろ教えてもらってばっかりで」
「……」
(ん?何か私変なこと言ったかな?)
香取くんがぱらぱらと問題集を捲るのが止まったのを不思議に思っていると…
「…いろいろって何?」
「え?」
「例えばこういうこと?」
香取くんは床に手を突いて私の方に身体を寄せると、素早く私の唇を奪った。
「!!」
「お前隙だらけ。掛かり稽古ならめった打ちって感じ」
真っ赤になる私を見て、香取くんは可笑しそうにくくっと笑った。
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