金曜日。
近所のモールで会った香取くんはいつも通りの香取くんで。
お気に入りの水色のレースのワンピースは誉めてはくれないし、もちろん、プールに行かせたくない理由を話してくれるわけではないし。
それに買い物に来たにもかかわらず、彼が欲しかったものは英語の参考書一冊だけ。
(何なんだろう、もう…)
香取くんの斜め後ろでちょっと口を尖らしていると、
「昼飯食ってこう」
と彼が言った。
イタリアンのお店でボロネーゼとペスカトーレが来るのを待ちながら、私は何も言わない香取くんにしびれを切らしてついに訊ねた。
「…なんで今日買い物来ようと思ったの?」
「ん?」
香取くんが不思議そうな顔をする。
「参考書買いたかったから」
「今日じゃなくてもよかったじゃない」
「……」
「私をプールに行かせないための口実でしょう?」
「……」
香取くんが窓の外に眼を逸らす。
「私にプールに行って欲しくないってどういうこと?」
「…ふぅ」
香取くんが溜め息を吐く。
近所のモールで会った香取くんはいつも通りの香取くんで。
お気に入りの水色のレースのワンピースは誉めてはくれないし、もちろん、プールに行かせたくない理由を話してくれるわけではないし。
それに買い物に来たにもかかわらず、彼が欲しかったものは英語の参考書一冊だけ。
(何なんだろう、もう…)
香取くんの斜め後ろでちょっと口を尖らしていると、
「昼飯食ってこう」
と彼が言った。
イタリアンのお店でボロネーゼとペスカトーレが来るのを待ちながら、私は何も言わない香取くんにしびれを切らしてついに訊ねた。
「…なんで今日買い物来ようと思ったの?」
「ん?」
香取くんが不思議そうな顔をする。
「参考書買いたかったから」
「今日じゃなくてもよかったじゃない」
「……」
「私をプールに行かせないための口実でしょう?」
「……」
香取くんが窓の外に眼を逸らす。
「私にプールに行って欲しくないってどういうこと?」
「…ふぅ」
香取くんが溜め息を吐く。



