深夜の住宅地を通る人はいなくて、言葉もないままふたりきりの時が流れる。
どこかぎこちなくてセンチメンタルな。
夜になっても湿ったままの風が髪を撫でる。その風に混じって、香取くんの声がした。
「…なぁ」
香取くんは私から眼を逸らしたまま自分の髪をくしゃくしゃと掻いた。そして─
「キス、しようか?」
(へっ!?)
「あっ、あの…え…?」
(今何て言った?私の間違いじゃなかったら…なかったら…)
キス、しようか?
って、言った─?
「えっ、えっ、えっと…あの…」
慌てふためく私。
それに対して香取くんは─
「これはただの練習だから」
(練習…そっか…)
香取くんは私のために協力してくれてるんだ。
(でも私にとっては…)
私にとってはファーストキスなわけで。
それも、大好きな人との─
(どうしよう…)
「どうするの?」
詰問するように香取くんが促す。
「えっと…」
どうしよう…
「嫌ならいいけど」
嫌なんじゃないの!嫌なんじゃないんだけど…
「じゃあ、帰るから」
香取くんが背中を向ける。
「待って!」
私は咄嗟に香取くんのTシャツの袖を掴んだ。
どこかぎこちなくてセンチメンタルな。
夜になっても湿ったままの風が髪を撫でる。その風に混じって、香取くんの声がした。
「…なぁ」
香取くんは私から眼を逸らしたまま自分の髪をくしゃくしゃと掻いた。そして─
「キス、しようか?」
(へっ!?)
「あっ、あの…え…?」
(今何て言った?私の間違いじゃなかったら…なかったら…)
キス、しようか?
って、言った─?
「えっ、えっ、えっと…あの…」
慌てふためく私。
それに対して香取くんは─
「これはただの練習だから」
(練習…そっか…)
香取くんは私のために協力してくれてるんだ。
(でも私にとっては…)
私にとってはファーストキスなわけで。
それも、大好きな人との─
(どうしよう…)
「どうするの?」
詰問するように香取くんが促す。
「えっと…」
どうしよう…
「嫌ならいいけど」
嫌なんじゃないの!嫌なんじゃないんだけど…
「じゃあ、帰るから」
香取くんが背中を向ける。
「待って!」
私は咄嗟に香取くんのTシャツの袖を掴んだ。



