夏休みが近付いて、俺は星宮を件の花火大会に誘った。


 星宮は馬鹿真面目に

「みんなで行こうよ!こないだそう話してたんだ。
 ほら、飯沼くんとかも!ね?」

なんて言ったけど、

「デートの練習。ふたりで行かなきゃデートにならないでしょ?」

と俺はまた星宮をだまくらかした。

 それをまたアイツは馬鹿真面目に信じるんだ。


 その無垢な瞳に胸が痛む。

 いや、痛みながらも安堵した。


(星宮の浴衣、独り占めできる…)

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