昼休みは日直の仕事のひとつで担任の野々村先生に何か連絡事項などがあるか御用聞きに職員室に行く。



「星宮部活入ってなかったよな?放課後何か用事あるか?」

「あ、いえ、ないです」

「ちょっと手伝ってもらいたいことがあるんだけどいいか?」

「あ、はい」


        *

(で…)


 何でこんなもの必要なんだろう…


 放課後の教室で私は大きな溜め息を吐く。


 野々村先生からの頼まれごとは…


『一期一会』と達筆な毛筆で大きく書かれた紙を黒板の上の壁に貼る!


…というもの。



(小学校みたい…)


 とにかくぱぱっと貼ってしまおう。


 蜂蜜色の夕陽が射し込み始めた教室。クラスの子たちが下校したり部活に行ったりして室内が空き始めた頃、私は

「よしっ!」

と気合いをひとつ、シャツの袖をくるりと肘まで腕捲りした。