じりじりと焦がれる外の景色には手を触れたくもない。

かと言って特別することもなく、ゲーム画面から目を離さない彼に寄っかかる。



「…重いんですけど」

「あ、ごめんね?でも何にもすることないのー」

「………」

「構ってほしいな?」



出来るだけあざとく。上目遣いで。可愛く。

甘えたような口調で誘ってみるものの、そもそもコチラを向いていないソラには効くはずもない。



「ねーぇ。そーらーるん?」

「今、良いとこだから。し」



口元に指は添えなかったが、なかなかのいい声でほんの一瞬目が合う。



(キャー!何その『待っててね?』みたいな目は!もぅ、待つよー、待ちますよーっ!)



寄りかかったままの彼女に何も言うことはなく、ただひたすらにゲームを進める。

そんなソラの真剣な横顔を、ただただ見つめる。



(相変わらず綺麗な顔してんなー。まつ毛長いし、ほっぺとか、)



「……」

「あ、ごめんね?…ちゃんと待ってる」



伸ばしかけた手を引っ込めて、三角座りした足首に腕を合わす。



(待って待って!カッコよすぎる!ねぇ!そらるんがカッコよすぎる!)



何とも語彙力のない感想を並べては、じっと視線をソラだけに向ける。


こう見ると彼女の一方的な恋愛感情だけがぶつけられているように見えるが、案外相思相愛だったりする。



「…見すぎ、やりずらい」

「えぇー。でもでもちゃんと待ってたよー?」



偉いでしょ?と微笑む彼女の笑顔に、今度はソラがときめく番だった。



「今日、なんか可愛い」

「いやだなぁ、そらるん。私はいつも可愛いのっ」

「あ、そういうのはいいや」

「むーっ。今日のそらるんは冷たいー」



感情の取りにくいソラだが、実際は彼女よりも愛が大きかったりするものだから、このカップルは長く続いているのだと思う。

少し機嫌を損ねた彼女の肩に頭を押し付け、ぐりぐりと動かす。



「ふふ、そらるん、くすぐったーい」

「構えって言ったじゃん」

「すごい時間差あるなー」



クスクスと笑う彼女に、微笑み返す。

そんな休日。



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気まぐれ彼氏さん と 一途な彼女さん
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