この意味のない美しい空に

また、一段と寒くなったような気がする。七号館の階段を屋上へ上がりながら、私はこの前感じた寂しさを思い出していた。胸に残るちょっとした寂しさが、冬の寒さのせいでとても痛い。私は早く彼に会いたいと思った。
階段を上りきると、いつものところに彼がいて、私は少し安心した。
「やあ」
「やっほ」
「さすがにもうここで本を読むには寒くなってきたかな」
「そうだね」
そう言って私は彼の隣に座った。
「今日は何だか落ち込んでるように見えるね」
「そう見える?」
「うん。それと、話を聞いてほしい!って顔もしてる」
……図星だ。
「……こないだの孤独の話、覚えてる?」
「俺が話した、見ている景色をそのまま伝えるのは難しい、って話だよね」
「そそ、それ」
「それがどうしたの?」
「いや、目で見たものとかを伝えるのも難しいけど、気持ちを伝えるのってもっと難しいんだなあって」
「気持ち、ね」
「伝えたいことは言葉にしないと伝わらないけど、言葉にした途端そうじゃないんだ、って気分になるの、分かる?」
「何となく分かる気がする」
ここで私は一呼吸置いた。チラッと彼の方を見る。