つい二、三週間前は明るかった五限終わりの空も、もうすっかり夜になってしまった。真っ暗な空、誰もいない廊下。この大学は国際色豊かで昼間はとても賑やかな分、この時間はとても静かに感じる。でも嫌な静けさではなくて、昼の賑やかさの残り香みたいなものが、授業終わりの疲れた体をしっとりと包むようで、心地いい。
廊下を歩いていると、この時間でも時々教室から声が漏れてくる。きっとサークルで残っている人たちか、それとも友達とのおしゃべりに時間を忘れてしまった人たちだろう。
こうして考えてみると私たちの毎日には常に言葉が寄り添っている。友達に昨日のことを話す時も、好きな人に想いを伝える時も、バイト先の愚痴を言う時も。あの日も、この日も、私たちの大好きな青春という奴は言葉でできてる、大体。
でもまあ、そんなこと当たり前で、それよりも私たちはSNSにアップする写真の方が大切だったり。仕方ないのです。青春は超高速で移動しているから、常にシャッターを切っていかないと見失っちゃうから。