『三番線、電車が参ります』
電車のドアが開いた瞬間、ひんやりとした冷気が溢れ出て、外の熱気とぐちゃぐちゃに混ざっていく。私は外の熱気たちに別れを告げ、冷房の効いた車内で本を開いた。最近は電車の中でなら読めるようになってきた。家で読むと相変わらずガーン!ってされて、気付いたら寝てるんだけど。
後、私は読むのが遅い。彼が別れ際にくれた押し花の栞はなかなか先に進まない。だけどこうして本を開いてその栞を見る度、何だか嬉しい気持ちになるから、私は本が好きになった。彼がくれた、白い小さな花弁の、押し花の栞。