「好きも愛してるも単なる言葉に過ぎないと思うよ。」



「え?」


予想外だった。先輩が作る映画は言葉を1番大切にして人の繊細な心境を代弁していたから。



「ほら、I LOVE YOUとか、月が綺麗ですねとか、全然違う言葉なのに愛してるって代用できちゃうだろ?」



「そう…ですけど」



「だから、愛してるなんて言葉は薄っぺらくて、好きとか誰だってつける嘘だよ…でも…」


「違います!好きとか愛してるとか、他人がどれだけ安っぽく聞こえたってそれは心の叫びで……えっと、だから」



好きが嘘。

そのセリフがまるで自分のことを馬鹿にされている気がして気がついたら歯向かうように先輩を睨みつけていた。


先輩にこんな辛い気持ちわかるはずないよ。


好きって伝える人の凄さなんて到底わかるはずない。

だって、先輩は、朝倉先輩は、



「映画ばっかりで私も見てくれない先輩には分かるはずないですっ!先輩なんか、アメリカにでも北極にでも宇宙にでも行っちゃえばいいです」