「サユキってたまに酷だよね」
「だから!だから確かめなくちゃ!会えなくなるかもしれないんでしょ!先輩は映画しか見てないのか馬鹿なこと考えてるぐらいなら気持ち伝えに行きなよ、張り合う対象間違えてるってば!」
サユキはまるで自分のことみたいに言うからか。
いつも自分のノロケ話ばっかりで私の話聞いてないって思い込んでたのが恨めしい。
こんなに私に気を使ってくれてるのに。
先輩は映画が好き。
それは変えられない事実で、映画を前に私が脇役になることなんて目に見えてた。
でも、所詮、映画だ。
私も大好きな映画だ。
その中でも私は先輩の作る映画が大好きだ。
苦難とか死とかを包み込むほどの優しさを持つ見た人に夢を見せてくれて虚無を少しだけ現実に持ってきてくれる先輩の映画。
愛を好きになれる映画。
私は映画を作る先輩が好きだから、映画が好きな先輩が好きだから、
「先輩…」
勝手に嫉妬して、酷いこと言っちゃったけど、私は先輩に伝えなくちゃ…
ごめんなさいも、
ありがとうございますも、
好きですも。

