始まりは大したことじゃない。



『じゃあ、文化祭について話したいと思います』



LHR(ロングホームルーム)の時間。



委員長が文化祭の出し物についての議題を持ってきたせいだった。



何故か一人ずつ意見を言う時間になってしまって。


『つぎ、亜緒さん』



あたしの番が来て。


『メイド喫茶がいいんじゃない』



って、言っただけ。



あたしは正直そんな文化祭なんて面倒なものに関わるのはごめんだったし、さっさと言って帰りたい気分だったのに。




『いいねえ!それ!』




何故かめちゃくちゃ賛成されたのである。




あたしはただ、世間的に顔が綺麗だと言われるやつらがうちのクラスに多くてそれを生かして、とても平凡な意見を言っただけなのに。



それだけ、なのに。





言った以上責任とってねとか、絶対やれよとか理不尽すぎる声にあれよあれよと計画をすすめられた。




その時茜はあたしを気に入ったらしく、それからずっと張り付いている。




一昨日の文化祭が終わってからもずっとだ。