あんたさ、あたしに憧れなくてもいいじゃない。
茜は、あんたは、今のままで十分素敵なひとだよ。
「あたしは、したくてしてたの。…茜。あたしが守ってあげなきゃって思って」
「うん、うん。ありがとう、詩乃」
ひとりで泣く詩乃に茜はそっと寄り添っていた。
「離れていかないで」
「行かないよ?なに言ってるの?」
「だって、最近亜緒ばっかで」
「あはは。ヤキモチやいてくれてたの?うーん、でもなあ。亜緒ちゃんも大事だからなー」
しばらくうむむと唸っていた茜はそれから、そうだ!と急にいった。
「3人で仲良くすればいいじゃん!」
「は?」
「はあ?」
詩乃とあたしは、同時に茜を見た。
「ね、その方がよさそう!ううん、絶対いい!」
「え、でも。あたしは、いい。いらない」
「傷つくのが、怖い?」
一瞬の真剣な眼差しに、戸惑って目をそらした。
「なんで、それ…」
「なんとなく?人と関わらないようにする人って大抵そうじゃない?」
「大抵って……」
「ああ、ごめんね。人それぞれ事情は違うよ?でも、似てる気がしたから。私も人をよく傷つけるの。ほら、今の詩乃のように。でもね」
「仲直りは、できるよ」
茜はニコリと微笑んだ。
「だから、友達になろ?」
その手をいつのまにか掴んでいたんだ。



