ニコニコと本音を喋り続ける、茜。
昼休みなのに食べるのも忘れて聞き入る詩乃のみんな。
そして、購買へかいにいくのを忘れる、あたし。
ああもう、購買のパン全部なくなったよねとか考えながら。
それでもやっぱり、この場から離れたくないと思った。
「ねえ、詩乃」
「………ん?」
「私を心配してくれるのはすっごく嬉しい。私は結構おっちょこちょいだから、転んだりしないように気をつけてくれてるんだよね」
「…茜」
「でも平気だよ!私、もう大丈夫!だから、私のせいで友達との約束とか断ったりしないで?詩乃の自由を制限するのは嫌なの」
この子は、いろんなことを見てる。
天然でぼーっとしてそうなのに。
何にも考えてなさそうなのに。
でも、実は誰よりもきを使ってるんだ。
誰よりも、みんなのことを見てる。
あたしがひとりでいることも。
本当はそれを望んでいないことも。
あたしは自分の気持ちさっきやっと気づいたのに、茜はもうずっと前から知ってたんだ。
自分が、詩乃の重りになってることも。
全部全部、ずっと前から知ってた。



