「なにかばってるの?茜。いいんだよ?そんな奴庇わなくて」
「庇うもなにも、私は本当のこと言ってるんだけど」
「え、だって」
「そりゃー、今まではそんなに仲良くなかったよ?最初仲良くなるときは、席も近くなかったし。でも、私ね。ずっと話しかけたかったの」
「なんで…」
「ただ単に興味がわいたからな?だってすっごく綺麗でしょ、亜緒ちゃん」
なんだ、容姿のせい?
「心がね、すっごく綺麗だもん。惚れるよーこれは」
間延びした声で続ける1人茜に、みんな口をあんぐりと開けた。
もちろん、あたしも。
なに、心が綺麗?
意味わかんない。
「だって、亜緒ちゃん。ほんとのことしか言わないじゃん。私みたいに見栄はって、少しでもいいとこ見せたそうにしてないじゃん」
いいところなんて見せないけど。
それはだって、嫌われるつもりだったからで。
「良い人にもならないけど、悪い人にもならない。そういうひと、ずっと私憧れてきたんだあ。私ね、最近亜緒ちゃんの真似っこしてるの。メイド喫茶だってそうだよ?いいと思ったから、亜緒ちゃんに賛成したの」
そしたら、話せるチャンスがあって。
なんて、楽しそうに話す茜の話が信じられなかった。
そんないいひとじゃないんだけど、あたし。
「話してみてもやっぱり全然変わらなくて、私心の中で師匠って呼んでたの。分かってくれるかなー?」



