「どこ行くの?」
昼休みに入ったとき。
購買にと、席をたったあたしに茜が聞いてきた。
ほんと、関わらないでよ。
「あんたには関係ないでしょ」
「うーん、関係あるよ?」
「なんで」
「私が、亜緒ちゃんのこと大好きだから」
またそれ?
「あんたが好きでもあたしは好きじゃないんだけど」
「そうだよーあの子嫌がってるよ?」
あ、めんどくさいやつ乱入。
「詩乃(しの)……」
「めんどくさいって顔してるじゃん。いい加減わかってあげなよ」
違うでしょ。
詩乃はあたしの気持ちなんて分かってない。
ただ、茜の1番が詩乃からあたしになったことにイラついてるだけでしょ。
八つ当たりも甚だしい。
「いつもあいつ、茜が一緒にいてあげてるのに、つまなんそうな顔ばっかしてるもん」
「別に、頼んでないけど」
「ほら!それだよ。1人だけ大人ぶって。クールにきめてさ。どうせみんなのこと見下してるんでしょー?」
「そんなこと言ってないけど」
「はあ?そういう顔してるって言ってるの!なに考えてるか、イマイチわかんないし、メイドカフェのあんたの提案だって、茜がいいって言ったから決まったんだよ!感謝くらいしなさいよ」
『なに考えてるか、わかんないし』
………それくらい知ってるんだけど。
てか、こいつが怒ってるのはあたしのせいじゃないよね?
勝手にキレてるだけ。
勝手に友達思いの自分を演じてる詩乃に話すことなんてない。
「どうでもいい。あんたには、関係ない」
そう言って教室から出て行こうとした時。
「こんなこと言われても傷つかないなんて。
あんたって、お面かぶってるの?怖いんだけど」



