「あ~ 緊張したぁ~」



社長が帰って 30分ぐらい してから

俺は ユキコの作ってくれた お粥を

食べて 薬を飲んだ。








薬のせいか また 睡魔に襲われた







スゥ~






スウ~








ユキコ「お兄ちゃん! お兄ちゃん!」






睡魔と戦いつつ 薄っすら 目を開けた



「……………なんだよ?」






ユキコ「お兄ちゃん! お客さん!」






「はあ? こんな時間に誰だよ」





すでに時計は 8時を 過ぎていた…





ユキコ「お見舞いだって! 綺麗な女の人だよ」





「女? ヒカル……かな?」




ユキコ「……どーする?

体 エライなら 帰ってもらう?」






「……せっかく来てくれたんだから

呼んでくれ!」





ユキコ「うん。 わかった。。」






(きっと 今度こそ ヒカルだぁ

でも なんで 俺 喜んでんだろ?)








ガラガラ~!





「こんばんわ」







「おう! ヒカ………





あれ?」








優香「どう? 熱は下がった?」





「ああ 優香さんかぁ」





優香「ヒカルちゃんだと 思った?」







「……ま、まさか…

あいつが、あんな女 来る訳ないでしょ?

優香さん みたいな 優しさもないし

それに あんなん来たら

熱、上がっちゃいますよ」












バン!



バシっ!


俺の胸元に リンゴが飛んできた。


そして


扉の前に ヒカル が立っていた……






ヒカル「元気そうだな?

じゃあ、また!」



ヒカルは 作り笑顔で そう言うと

慌てて 家を飛び出して行った。





優香「……この リンゴをね

渡したかったんだって


1人だと 恥ずかしいから

私に 着いて来てって

頼むのよ……


優しいよね

ヒカルちゃんって?」








バタンっ!











俺は ヒカルを追いかけた

熱のある 体も 気にならなかった


とにかく ヒカルに謝りたい……





(いつも 女を落とす時は

優しい言葉ばかり でたのに

ヒカルの 前だと


なんでだよ、

なんで、





こうなるんだよ?









街路灯の下で ヒカルは 立っていた…


「おい! ヒカル!」






振り向く ヒカルの 目の下は

街路灯の光があたり

薄っすら 輝いてみえた…











ヒカル「なに? 走って大丈夫?」




「あの…………」





ヒカル「うん?」











「ご、、、ごめん」





ヒカル「……いいよ、別に、

たかが、リンゴぐらい…」





「そうじゃなくて………」




ヒカル「なに?」





「その、せっかく お見舞いに来てもらって…」




ヒカル「……バーカ!

奴隷がいないと

私の仕事量が増えるだろ!

それに 1人でトラック乗ってるより

なんて言うか、2人のほうが……」












バッ!


なぜか 無意識に


俺は黙ったまま ヒカルを 抱き寄せてしまった。









ヒカルも黙ってそれを 受け入れた…

















「……ごめん」



ヒカル「もういいよ」












こんなに 胸が締め付けられたのは

初めての事だった。












そして

この時 はじめて

人を好きになる感覚を


俺は少し 感じた。