「よし!95個目!!」


それにしても1人で集めるのって


大変だし、つまらないなぁ。


「ねえ、こんなところで1人で何してるの?」


突然声がして振り返ってみると、


瞳がくりくりの男の子がたっていた。


「私はネズミの小判を集めてるの」


そう言うと男の子は小首を傾げた。


「ネズミの小判ってなーに?」


「ネズミの小判はね100個集めるとお願いが叶うんだよ!」


つい興奮して、両手をめいいっぱいに広げ


大声を出して伝えると、


男の子は目をキラキラと輝かせた。


「へぇー!!すっごいね!僕も手伝うよ!」


「ほんとに?ありがとう!あと5個なの!」


「もうすぐだね絶対見つけよう!」


私と男の子は夕方まで必死にネズミの小判を


探し続けた。


「あ!!あったよ!これで100個揃ったね!!」


男の子が大声を出して、ネズミの小判を掲げた。


「ほんとだぁ!すごいねそろっちゃった!」


手を叩いて喜んでいると男の子の表情に影がさした。


「どうしてさみしそうな顔してるの?」


そう問いかけると、さみしそうに笑った。


「この夕日が海に向かって落ちるとき、僕はこの街を出ていくんだ。」


いきなりの話しに目を見開いて少女は言った。


「じゃあもう今から引っ越しちゃうの?」


「うん、君と最後に遊べて楽しかったよ」


ニッコリと優しい光を瞳にたたえながら男の子は言った。


「じゃあ最後にお名前聞いてもいい?」


引越しは止めることは出来ない。


だけどどうしてもその男の子の名前を聞きたかった。


「僕の名前は______」