人形の君に心をあげる。




しばらく空を眺めていた。


何も考えずに。



次第に、体の熱は冷め、消耗された体力も戻ってきた。



...こうしてても始まらない


再びネクタイを締め、ベンチから立ち上がる。



どこをどう探せばいいかなんて分からなかったけど、とりあえずただ真っ直ぐに前に進む。


右も左も同じような景色。

どうせ、どこに行ったってみつかるときは見つかるし、見るからないときはどう探したってみつからないんだ。



だったらまず、気になる目の前の垣根の向こうが知りたい。



タイルと革靴がぶつかり合って、コツコツと音を立てる。


静かな庭にその音だけが響いている。