人形の君に心をあげる。




大人たちは俺に何度もこう言った。


「高校くらいは出てないと、どこにも就職できない」

「高校に行きたくてもいけない子だっているんだ、君は行かせてもらえるだけ”幸せ”なんだよ?」

って。



そうやって、高校に行かないという選択肢を完全に絶ったうえで、「行くか、行かないかは君次第だよ」って、残りの決められた選択肢を俺に選択させる。




あたかも、俺が、俺の意思によって”自由”に決めたかのように。



そうしておきながら、学校に行ってないと分かったときは「どうして自分で決めたことなのに守れないんだ!?貫き通せないんだ!?」って俺を叱る。



俺には何一つ理解できなかった。

そんな世界が、どうして俺にとって”自由”で”幸せ”な世界だなんて思えるんだろう。