優しい口調とは違った、ちょっと力強さを感じるその手は、まるで安心しろと俺に語りかけてくるようだった。
「”yes”なら、何もしなくていい。ただ君は目を閉じて、ゆっくりと眠ればいい。」
「”no”なら、力の限り、抵抗しなさい。」
俺は頭の中で男の言葉を繰り返した。
”yes”なら何もせず、”no”なら抵抗...
今、俺は動けるほどに体が回復していないのは分かっている。
だけど、それ以上にまずいのは、わずかな温かさから生まれる気の緩み。
こんな得体のしれないやつからの質問の答えなんて、考えもしなくても答えは”no”。
そんなの、決まりきっているはず。
なのに、さっきから頭までもがぼやっとするんだ。
正常な判断をしようとする俺を、困惑させるように。
「質問だ。
君、今日からうちで働かないかい?」


