人形の君に心をあげる。




誰なんだ...

そう問いたかったけど、肝心の口は動きそうもない。



「私は君を迎えに来た、と言ったね。だけど、これは強制じゃない」


声の主は言いながらしゃがんで俺の顔を覗き込んだ。


ゆがんでぼやけた視界の中、その男の目が俺をしっかりと見ていることだけは分かる。



「...今から君に選択肢を二つあげよう」


男は相も変わらず落ち着いた静かな口調で話し続ける。



「”yes”か”no”だ。君はどちらか好きな方を選べばいい」


そう言って男は再び俺の頭を撫でる。



その手はやはり温かくて、どこか懐かしさを覚えるような、そんな気がする。