「...」


もちろん最後まで俺は、振り返ることも、言葉を交わす気もない。


ただ黙って、扉を開く。


開いた扉の隙間からは、朝日が差し込んできてまぶしい。


いつもと変わらない朝。

いつもと変わらない景色。


なのに今日はその光がまぶしいほどに俺を照らしてるように感じた。


...なんなんだよ

俺は小さく舌打ちしながら、目元に日陰を作るように手をかざし、玄関を出た。


遠くなっていく後ろの方で、静かに扉が閉まる音が聞こえた。


俺は、やっと自由になれたんだ。