「まっ...待てよ」
苦しそうにむせながら、残りの力を振り絞るようにして男は俺の右足をつかむ。
...しつこいな
俺は力一杯に足を払い、払った手をかかとで踏みつける。
男は涙目になりながら、うずくまっている。
俺はただそいつを上から眺めた。
「...」
その時、自分の中で知らない自分が勝手に動き出した気がしたんだ。
なぜかは分からない。
何がきっかけになったのかもわからない。
こんなやつ構ってないで、荷物持っていなくなればいい。
頭では分かっているのに、体が思考とは違った動きをする。
俺はゆっくりとしゃがみながら、男の髪に手を伸ばす。
そして、男の髪を鷲掴みにしながら上に引き上げる。


