「荷物、返せよ...」
俺の荷物を持った男に向かって言う。
けれど男は、それには答えず、どこかへ歩き出した。
まあ、検討はついてるけど。
男の歩いてった先に鉄橋が見える。
おそらく、人目につかないところに移動したいんだろう。
途中、まわりの男が止まってこちらを振り向き、
「返してほしかったらついてこい」
そう怒鳴った。
...チッ
「めんどくせえな」
本来ならこんなヤンキーもどきの安い挑発なんかには乗らない。
けど、あの荷物の中には有り金すべてが入っている。
俺は深くため息をつきながら、あとを追った。


